鬼TA

 院生になって以来、指導教官の授業をTAとして手伝っている。しかしその授業は教養科目なので、総じて学生の士気は低い。よって階段教室の後ろの床に座り込む者や、授業の途中で抜け出す者が哀しいことに多数存在していた。前者については教官との協議の末、席につかない者には出席票を与えないという対応で根絶に成功。しかし後者については今の所対応策がないのが現状。一応出席票には小テスト代わりの課題がついているので、授業を全部聞かないことには点が取れない仕組みになっているのだが、彼等は理解しているのだろうか?
 今日の授業では学部生さん方にかなり厳しい対応をとってしまい後悔する。「冷房が効きすぎて寒いので何とかして欲しい」と言う学生に対して「我慢しろ」と言い、遅めに来た二人組みの学生が二人で一緒に座れるスペースがなくて立ったままでいるのに対して「一人で座れ、さもなくば出席表はやらん」と言い放ってしまった。きっと学部生は私のことを教授の威を借るクソ院生に見ているだろう。しかし、ここは心を鬼にして学部生の為に敢えて憎まれ役となろう。尊敬するハートマン軍曹風に言えば

「貴様らは厳しい俺を嫌う。だが憎めば、それだけ学ぶ 。俺は厳しいが公平だ。学科差別は許さん。建築、機械、化学を、俺は見下さん。すべて―――平等に価値がない!」

と言う感じである。そんなあほな話を教授に話したら大うけしてもらえた。
 どうでもいいことであるが、今研究室ではAIBOフルメタルジャケットごっこがちょっとしたブームである。ハートマン軍曹の言葉を引用しながらゼミで会話するのは高等教育機関としてはどうかとも思うが。