浜名 優美，ブローデル『地中海』入門，藤原書店，2000 ISBN:489434162X

　ブローデルの「地中海」をちびちび読んでいる最中に読了。しかし肝心の「地中海」の方は第二分冊の初めの方までしか読んでいない・・・
　ブローデルの思想をその代表的著作の「地中海」からダイジェストすることで紹介する内容。さらにブローデルのライフヒストリーも紹介されている。基本的にはブローデルマンセーの内容なので著者が無理やりブローデルとレヴィストロースとの関係をピックアップしたりするのはご愛嬌なのだろうか？それにしても著者はこんなにブローデルを礼賛しているのに、「地中海」の第二版が出てから三十年も立って日本語に翻訳されるとはどうしたことか？ブローデル自体の評価はかなり前からされていたのに・・・
　ブローデルは第二次世界大戦中にドイツの捕虜と為り、捕虜収容所で今までに読んだ史料の記憶だけで博士論文を書き上げたのだからすごい。ブローデル夫人の回想ではブローデルは大量の史料を漁り、なおかつそうした史料のほとんどを記憶していたという。やはり歴史家たるもの史料を貪らないといけないのですね・・・