書評

佐藤大輔「皇国の守護者9」ISBN:4125008752

ご都合主義と詰め込みすぎて拙速となってしまった展開が痛々しい。無理矢理に一つの巻で終わらせようとしたのが全ての原因であろう。つっこみどころを我慢して読み進めるのはかなり苦痛であった。個々の場面では読ませるところもあったが、後半になるに従っ…

太宰治「人間失格」「桜桃」

ダイソーにて百円で購入する。青空文庫で公開されているデータを大創出版が編集して冊子にしたものだそうである。著作権が切れているからこういう商売も成り立つのだとひとしきり感心する。ネットでタダで手に入る情報とはいえ、文字情報、特に文学などのじ…

滝本竜彦「超人計画」角川書店

同じ専攻の友人が急に研究室に駆け込んできて貸してくれた代物。“ひきこもり世代のトップランナー”にして小説家のエッセイなのだが、ひきこもりを卒業した人なのでその称号は使えないと思ったりするが、まあ真性ダメ人間なのは確かなのでよいのではなかろう…

山本博文「武士は禿げると隠居する―江戸の雑学 サムライ篇」

表題どおり武士は禿げて丁髷を結えなくなったら引退しなければならなかった。禿の家系のお侍さんはとっても大変なのではないか?そんなかんじの江戸時代のトリビア的な知識が満載の書である。これを読むと江戸時代の武士がいかに大変な商売であったかがよく…

植村峻「贋札(ニセサツ)の世界史 (生活人新書)」

中国宋代に人類初の紙幣が発行されて以来の偽造技術とそれを防ぐ技術のせめぎあいを描いた本。印刷の技術や偽造防止技術について詳しく書いてあり専門的な部分も多々あるが、トリビア的な知識が楽しめる内容となっている。とくに技術的な説明が分かりやすい…

ポール・クルーグマン,訳:三上義一「嘘つき大統領のデタラメ経済学」早川書房、2004 ISBN:4152085398

四月以来、ろくに本を読んでいなかった。今月きちんと読んだのはこの本ぐらいですかね。 著名な経済学者であるクルーグマンがNYタイムズで連載しているコラムをまとめたものなのだが、その内容は徹頭徹尾ブッシュ政権の経済政権をこき下ろすというものである…

グッバイ、レーニン!

前々から気になっていた映画だったので恵比寿ガーデンシネマまで見に行った。平日昼間だというのにほぼ満席なのに驚く。マイナーな映画かと思いきや、意外に注目している人が多いようである。笑いあり涙ありの良い映画であった・・・こういうふうに書くとで…

文藝春秋を買って例の小説を読んだ

肉体改造を行うほうの小説は面白いと思った。ただし読み返したくなるほどの面白さはなかった。消費される小説だと感じた。 女子高生がアイドルオタクを蹴る方の小説はストーリーどうこうの前に違和感を感じる設定が多すぎた。まず、初めて会話をした女の子を…

浜名 優美,ブローデル『地中海』入門,藤原書店,2000 ISBN:489434162X

ブローデルの「地中海」をちびちび読んでいる最中に読了。しかし肝心の「地中海」の方は第二分冊の初めの方までしか読んでいない・・・ ブローデルの思想をその代表的著作の「地中海」からダイジェストすることで紹介する内容。さらにブローデルのライフヒス…

リチャード・ドーキンス,利己的な遺伝子,紀伊国屋書店,1991 ISBN:4314005564

一ヶ月ほどかけてようやく読了。以前、理系の知人が大絶賛していたのが記憶の端っこに残っていたので読むことにした本。 生物学の門外漢にもわかるように様々な動物の事例から説明しているのでとてもわかりやすい内容である。あらゆる生き物は自己複製を目的…

古田博司「東アジアの思想風景」岩波書店,1998

スポーツクラブで自転車を漕ぎながら読了。北朝鮮と李朝史の専門家である古田博司氏が岩波書店の雑誌「世界」に連載していた韓国・朝鮮に関するコラムをまとめ、書下ろしを追加して単行本化したものである。ちなみに氏はこの本でサントリー学芸賞を受賞して…