ポール・クルーグマン,訳:三上義一「嘘つき大統領のデタラメ経済学」早川書房、2004 ISBN:4152085398

Bush Bush Bush

 四月以来、ろくに本を読んでいなかった。今月きちんと読んだのはこの本ぐらいですかね。
 著名な経済学者であるクルーグマンNYタイムズで連載しているコラムをまとめたものなのだが、その内容は徹頭徹尾ブッシュ政権の経済政権をこき下ろすというものである。日本でのブッシュ政権批判は外交政策においてのみ聞かれるが、経済政策でもブッシュ政権は危ないことをしているんですよというのがよくわかる内容になっている。
 例えばブッシュ政権の経済政策の目玉である減税がごく一部の富裕層にのみ恩恵を与え中低所得者層にはかえって負担となっていることや、各種の規制緩和ブッシュ政権と関係の深い企業に大きな利益を与えていることなどが暴かれている。この本を読むといかにブッシュ政権が政治を食い物にしているのかが分かり、とても恐ろしい気分になる。さらに驚かされるのが、クルーグマンの指摘していることがアメリカのマスコミではほとんど報道されないということである。9.11以後のアメリカのマスコミの問題が今なお改善されていないことは危機的ですらあると思う。
 現代の覇権国家がこの有様なら世界の未来はどうなるのでしょう・・・。まあ、過去の覇権国家にしても腐敗と無縁であったわけではないので・・・