太宰治「人間失格」「桜桃」

ujencooha2004-12-11

 ダイソーにて百円で購入する。青空文庫で公開されているデータを大創出版が編集して冊子にしたものだそうである。著作権が切れているからこういう商売も成り立つのだとひとしきり感心する。ネットでタダで手に入る情報とはいえ、文字情報、特に文学などのじっくり読むタイプのものは紙の冊子でなければなかなか読めるものではない。安価に冊子にしてくれるサービスは案外便利である。
 太宰の作品は好きになれない。なぜならばあまりに共感できすぎて読んでいると鬱になるからである。「人間失格」は特にそのけが強い。人間がだめな方向にドツボにはまっていく悪循環などは、自分の短い人生経験からもいやというほど感じることができてしまうのでたまらない。他者から見れば何とでもない事が当人にとっては絶望的なまでに乗り越えがたい壁となって存在することは事実である。そこに生じる他者と自己とのギャップは、それが認識されない限り、壁の鉄壁度合いを助長するものでしかない。・・・などと書いていると本当に鬱になる。なんにせよ太宰作品は好きになれない。かと言って嫌うこともできないのだが。