グッバイ、レーニン!

偉大なる指導者

 前々から気になっていた映画だったので恵比寿ガーデンシネマまで見に行った。平日昼間だというのにほぼ満席なのに驚く。マイナーな映画かと思いきや、意外に注目している人が多いようである。笑いあり涙ありの良い映画であった・・・こういうふうに書くとできの悪い小学生の読書感想文みたいでいやなのだが、この映画は完全無欠なエンターテイメントとして高い完成度をもっているので自分には余計な感想が出てこなかったのでいたし方がないと思う。
 例えば、社会主義から資本主義に急激に移行する当時の東ドイツにおいて激変する主人公の周囲と変化のない主人公の母親との対比の中に、この作品の面白さが存在する・・・などと書けば素人的な映画批評っぽくはなるし、感想としても無難な域に収まるだろう。しかし自分は文学や映画などの芸術分野に関して感想を述べるということが好きではないし、得意でもない。自分の心の中の感動を文章化するのが苦手なことも原因の一つにはあるが、ブルースリーの名言である「Don't think.FEEL!」のように考えているからである。つまり芸術は感じ取るものであり論評するのは専門家にやらせておけば良いと考えていたので、私は小学校の時の読書感想文の宿題を一切提出しなかったのである。

 劇中で西側資本の流入によってそれまでの東ドイツ製品がなくなってしまい、主人公が必死になって東ドイツ製品を探すシーンがあった。こういう光景は資本主義の巣窟である現代日本においても同様に見られる。新製品が次々と出てくるため、この間まで飲んでいたジュースがコンビニから消えたり、好きなお菓子がいつの間にか手に入らなくなることは良くある事である。商品のサイクルが早いということは時代の流れが早いことでもある。

 映画を見た後、近くのマクドナルドでハンバーガーを食べた。資本主義の味がした。