今日の出来事

 地下鉄に乗っていると隣の席のおばさんがなにやらまくし立てている。かなり大きな声で早口でヒートアップした調子だったので思わず聞き耳を立ててしまう。かなり早い口上なので断片的にしか聞き取れなかったのだが、辛うじて聞き取れた内容を記す。
おばさん曰く
イラク侵略戦争云々・・・どうしょうもないブッシュのやつと小泉反動政権は云々・・・教育基本法改正問題もそうだし憲法改悪を阻止しないと云々・・・新聞は戦争を肯定するメディアなの、朝日や毎日も一緒・・・今度平和集会があるから是非来てね・・・」
 おばさんは隣に座っているおばあさんに上記の内容をひたすら話しかけていた。神妙な顔で聞いているおばあさんはたまに中途半端な相槌を打つのだが、会話になっていないのは明らかであった。どうやらおばさんは極めて進歩的な政治的信条をお持ちの方のようであるが、おばあさんのほうはいまいちよくわからない。雰囲気から行くとベテランの下士官が新米の兵士に戦場での心構えを語っているような感もある。おおかたアクティブな活動家のおばさんがちょっと興味を持っただけのおばあさんをオルグしているのだろうとその時は思っていた。
 ところが、おばあさんはある駅で席から立ち上がると、「ここの駅で降りれば乗り換えられるんですね」とおばさんに向けて言った。おばさんが「そうです。ここで降りれば乗り換えられます」と答えると、おばあさんはお礼を言って下車していった。そしておばさんは何事もなかったかのように座ったまま本を読み始めたのであった。
 どうやら二人は知り合いでもなんでもなく、ただ単に車内で知り合っただけの関係であったようなのだ。しかもどうやらおばあさんは乗り換えの仕方を聞きたいだけだったようである・・・。それが何故、上記のような展開になったのかは定かではない。初対面の、しかも乗り換え方法を聞いただけの人とそこまでのフランクな会話ができるコミュニケーション能力はどのように習得できるものなのであろうか?謎である。
 それにしてもネイティブの会話はぜんぜん聞き取れません。やっぱり筋金入りのネイティブスピーカーは頭の出来が違うなあとつくづく感心しますた。