国立能楽堂普及公演@国立能楽堂
演目*1
- 解説・能楽あんない 海士の珠取り
- 馬場あき子
- 狂言「左近三郎(さこのさむろう)」
- シテ/左近三郎:善竹忠一郎 アド/出家:大藏吉次郎
- 能「海士(あま)」小書:窕(くつろぎ)
- 前シテ/海人 後シテ/龍女:観世喜之 子方/房前大臣:奥川恒陽 ワキ/房前の従者:高井松男 ワキツレ/従者:梅村昌功 野口能弘 アイ/浦人:善竹隆司
- 笛:一噌庸二 小鼓:亀井俊一 大鼓:柿原崇志 太鼓:小寺佐七
台風直撃の中、千駄ヶ谷まで赴く。客席は半分くらいしか埋まっていない。またいつもならば大量の和服の人がいるはずだが、さすがに荒天の中で着物を着てくる人はほとんどいない*2。席は脇正面の一番後ろのため、真横からしか舞台が見えないが、全体を見渡せるのでよしとする。
「左近三郎」は猟師の左近三郎と、旅の禅僧との間の阿保な禅問答が舞台上で繰り広げられる出家物の狂言である。禅僧をからかうために左近三郎は弓矢を向けて「酒は好きか」「魚を食べるか」「奥さんはいるのか」などと問い質す。禅僧はやむなく自らの破戒僧ぶりを告白させられる。そんな問答が続くうち、双方に馴れ合いとも見える奇妙な連帯感がただよってくる。シテ・アドの年季の感じさせられる落ち着いた演技がそうした掛け合いを見事に引き立たせていた。派手さはないがつぼを押さえた笑いが響く舞台であった。
海士が海中に宝玉を取り戻しに行く場面である玉の段だけで「海士」は成り立っていると実感した。最後に出てくる早舞は蛇足な気がする。というより玉の段と早舞しか見てなかった。
それにしても二ヶ月ぶりの能楽観賞であった。これからはたくさん舞台を見に行こうと心に誓う。帰りに売店で
「現代能楽講義 (大阪大学新世紀レクチャー)」
「能楽入門〈3〉梅若六郎 能の新世紀―古典~新作まで (ショトルライブラリー)」
を次の発表のネタ本として購入。ついでに来月12日の「道成寺」のチケットも買う。